このページは、破産手続における相殺の規律(原則 総論)について説明をしているページです。
破産債権者は破産者に対して債務がある場合、原則として相殺可能ですが、制限があります。破産者の債務者も同様です。少々難解な部分があるかもしれません。
管財人は裁判所の許可を得なければ、相殺はできません。
1 はじめに
債権者が相殺できる場合には、制限があります。少々難解な部分があるかもしれません。
破産債権者は原則として相殺が可能としつつ(破産法67条1項)、相殺が禁止される場合を定めています(破産法71条1項)。さらに、相殺禁止の例外を設けています(破産法71条2項)。
破産者の債務者が、後から債権を取得し相殺を主張する場合についても、相殺が禁止される場合を定めています(破産法72条1項)。さらに、相殺禁止の例外を設けています(破産法72条2項)。
なお、破産債権者の相殺は、相殺禁止規定の適用とは別に、否認の対象になることはないと解されています(最判S40.4.22)。
最判S40.4.22:破産債権者の相殺は、相殺禁止規定の適用とは別に、否認の対象になることはないとした判例
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「破産法が否認権と別個に相殺権を規定し、破産手続によらないでこれを行使することを許容したのは、破産開始前、既に相殺が許されている場合は、破産宣告があつても、破産債権者は何等これによつて妨げられることなく、当然の権利として相殺をなし得るものと認めたによる。けだし、破産債権者は自己の関与せざる相手方の破産という事実によつて、本来有する相殺権が影響を受くべき理由はないからである。ただこの権利が破産に際して濫用される弊害を慮つて、破産法104条は例外的に制限を規定したに止るのである。従つて、破産債権者の相殺権の行使は、右法条の制限に服するのみであつて、同法72条各号の否認権の対象となることはないものと解すべきである。」としました。
2 管財人からの相殺
管財人から相殺をすることは原則として許されておらず、「破産財団に属する債権をもって破産債権と相殺することが破産債権者の一般の利益に適合するときは、裁判所の許可を得」た場合にのみ、相殺をすることができるとされています(破産法102条)。
管財人が破産法102条に違反して行った相殺合意は無効と解されていま(最判S52.12.6)。なお、破産管財人は、相殺するか否かを破産債権者に催告することはできます(破産法73条)。
最判S52.12.6 相殺禁止規定に反して行った合意は、破産管財人が行ったものであっても、特段の事情のない限り無効であるとした判例
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破産者甲社の破産管財人Xは、破産債権者Y銀行との間で、Yの根抵当権の抹消登記手続を条件にXから相殺禁止を理由にYの甲社名義の預金の払戻請求をしない旨の合意をしました。そこで、Yは、支払停止後第三者からY銀行の甲名義の預金に振り込まれた金員につき、相殺の意思表示をしたところ、Xが破産法104条2号(現71条1項3号)の相殺禁止に違反し無効であるとして、Yに対して支払を求めて提訴しました。 第1審、控訴審ともXの請求を棄却したため、Xが上告したところ、本判決は、「相殺禁止の定めは債権者間の実質的平等を図ることを目的とする強行規定と解すべきであるから、その効力を排除するような当事者の合意は、たとえそれが破産管財人と破産債権者との間でされたとしても、特段の事情のない限り無効であると解するのが、相当である。」と、破棄自判をしました。
3 相殺権濫用論
破産法71条、72条による相殺禁止に触れない場合であっても、相殺権の濫用にあたる場合には、相殺が認められない場合があります(大阪地裁H1.9.14、大阪地裁H6.10.25)。個別具体的な判断になります。
大阪地裁H1.9.14:権利の濫用にあたるとして、破産債権者の相殺が認められなかった事例
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詐欺的商法を行っていた破産者甲(豊田商事)の管財人に選任されたXが、同社から高額な歩合報酬を受け取っていた元従業員であるYらに対して、当該歩合報酬の合意は公序良俗に反して無効であるとして、歩合報酬相当額を不当利得に基づき返還を求めたのに対し、Yらが、甲に対する未払報酬債権等を自働債権とする相殺を主張して争った。 本判決は「確かに、Yらの相殺権の行使は、破産法104条に直接抵触しない。しかしながら、同法98条による相殺を認めることが著しく信義則に反し、債権者相互間の不公平な結果を招来する等の特段の事情がある場合には右相殺権の行使は権利の濫用に該当し、許されないと解するのが相当である。
そこで、前記認定の事実に照らすと、Yらは甲の社員として詐欺的本件商法を推進することにより右債権を取得したのであって、右相殺を許容することは詐欺的商法の被害者である前記破産債権者らの犠牲において優先弁済を受けるのと同様の結果を招き、著しく信義則に反し、破産債権者間の公平を害する。してみれば、Yらの主張する相殺権の行使はその余の点について判断するまでもなく、権利の濫用に該当し、許されないといわねばならない。」として、Xの請求を認めました。
大阪地裁H6.10.25:債権者の相殺等の主張が権利の濫用にあたるとして認められなかった事例
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甲(破産者)は、乙銀行に対する担保として定期預金証書を差し入れていたが、当該右定期預金証書は偽造されたものであり、乙銀行は甲からそのことを告げられました。一方甲は、乙銀行の子会社であったYから借入れをしており、担保(割引債)を差し入れていたところ、当該担保に余力がありました。そこで、乙銀行は甲に対する債権をYに譲渡し、Yは、甲に対する自己の債権のほか、譲受債権を含めて担保権を実行し、譲受債権の多くを相殺及び弁済に充当することにより回収しました。その後甲に破産手続開始決定がなされ、破産管財人に選任されたXが、Yに対し、Yが担保権の実行及び相殺によって回収した金員のうち、譲受債権にかかる部分についてその返還を求めたところ、 本判決は以下のように述べて、Xの請求を概ね認めました。
「Yの相殺及び担保権の行使が権利の濫用に当たるかにつき検討するに、・・・債権回収により勤勉であった者について、右の点のみを理由として、その債権回収行為を非難することはできないというべきである。
しかしながら、このような取引社会においてもおのずから限度があり、権利の濫用にわたるような場合には、その権利行使が許されないことは当然であるところ、これについて本件をみるに、前記認定によれば、乙銀行は、破産者から担保として供した定期預金証書の偽造という犯罪行為の存在を密かに告白され、その信用悪化が決定的なものになることを知ったが、乙銀行グループに属するYの担保余力を利用すれば、その債権を駆け込み的に回収することができることから、その旨をYに告げて積極的な協力を求めたところ、Yは、これに積極的に加担して専ら同銀行の利益を図ろうとしたものであり、Yによる債権回収の具体的方法としても、当初から自らの破産者に対する債権であった第一手形貸付債権元本の少なくない部分の回収についてはわざわざ相殺によるものとし、本件譲受債権のほぼ全額の回収については担保権の行使によるものとしたのも、譲受債権にかかる相殺によったのでは破産法104条4号の規定に抵触する可能性を認識していたため、これを可及的に回避しようとした証左といいうるところであって、これらの事実を踏えるとき、Yとしては、自らの債権の回収という通常の事務処理の形態をとって、処理の適正を装ってはいるものの、その実態は、破産者の一般債権者の犠牲において、専ら乙銀行の利益のために債権の回収を図るべく積極的に加担したものであって、その背信性には極めて重大で著しいものがあるといわざるを得ないから、右相殺及び担保権の行使はいずれも権利の濫用に当たり、効力を生じないというべきである。」
2 破産債権者が相殺できる場合(原則の確認)
⑴ 原則
破産手続開始決定時に相殺適状にあれば、破産債権者は原則として、破産手続きが終了するまで、いつでも相殺可能です(破産法67条1項)。(参考判例 最判H28.7.8)
最判H28.7.8(再生) 再生債務者に対して債務を負担する者が、当該債務に係る債権を受働債権とし自らと完全親会社を同じくする他の株式会社が有する再生債権を自働債権として相殺ができることをあらかじめ再生債務者として合意していたとしても、民事再生手続開始後、相殺をすることができないとした判例
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Xが民事再生をしたのに対し、Xとデリバティブ取引をしていたYい対して、デリバティブ取引により生じたYに対する債権の支払を求めたところ、YはXに対する債務を、ISDマスター契約に基づき、Yのグループ企業であるA企業のXに対する債権と相殺をできると主張しました。第1審、控訴審とも相殺を認めましたが、本判決は以下のように説示して、Yの相殺の主張を認めませんでした(なお破産法67条、会社更生法48条は、民事再生法92条と同様の定めを置いています)。
「相殺は、互いに同種の債権を有する当事者間において、相対立する債権債務を簡易な方法によって決済し、もって両者の債権関係を円滑かつ公平に処理することを目的とする制度であって、相殺権を行使する債権者の立場からすれば、債務者の資力が不十分な場合においても、自己の債権について確実かつ十分な返済を受けたと同様の利益を得ることができる点において、受働債権につきあたかも担保権を有するにも似た機能を営むものである。上記のような相殺の担保的機能に対する再生債権者の期待を保護することは、通常、再生債権についての再生債権者間の公平、平等な扱いを基本原則とする再生手続の趣旨に反するものではないことから、民事再生法92条は、原則として、再生手続開始時において再生債務者に対して債務を負担する再生債権者による相殺を認め、再生債権者が再生計画の定めるところによらずに一般の再生債権者に優先して債権の回収を図り得ることとし、この点において、相殺権を別除権と同様に取り扱うこととしたものと解される・・・・このように、民事再生法92条は、再生債権者が再生計画の定めるところによらずに相殺をすることができる場合を定めているところ、同条1項は「再生債務者に対して債務を負担する」ことを要件とし、民法505条1項本文に規定する二人が互いに債務を負担するとの相殺の要件を、再生債権者がする相殺においても採用しているものと解される。そして、再生債務者に対して債務を負担する者が他人の有する再生債権をもって相殺することができるものとすることは、互いに債務を負担する関係にない者の間における相殺を許すものにほかならず、民事再生法92条1項の上記文言に反し、再生債権者間の公平、平等な扱いという上記の基本原則を没却するものというべきであり、相当ではない。このことは、完全親会社を同じくする複数の株式会社がそれぞれ再生債務者に対して債権を有し、又は債務を負担するときには、これらの当事者間において当該債権及び債務をもって相殺することができる旨の合意があらかじめされていた場合であっても、異なるものではない。
したがって、再生債務者に対して債務を負担する者が、当該債務に係る債権を受働債権とし、自らと完全親会社を同じくする他の株式会社が有する再生債権を自働債権としてする相殺は、これをすることができる旨の合意があらかじめされていた場合であっても、民事再生法92条1項によりすることができる相殺に該当しないものと解するのが相当である。」
なお,破産手続きとの関係から,破産法は、破産債権者からの相殺につき、民法の一般原則を以下のとおり修正しています。
⑵ 自働債権(=破産債権者の債権)についての補足/修正
自働債権(=破産債権者の債権)の債権の種類によっては、相殺可能な範囲が制限されます。
債権の種類 | 相殺可能な範囲 |
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期限付債権 | 債権額で相殺が可能です(破産法67条2項、破産法68条1項、破産法103条2項)。 |
解除条件付債権 | 相殺が可能ですが担保提供又は寄託が必要です(破産法67条2項、破産法69条)。 その後、最後配当の除斥期間内に条件が成就しない場合,寄託金は債権者に戻されます(=相殺が認められることになります。破産法201条3項)。一方で最後配当の除斥期間内までに条件が成就した場合は財団に組み入れられることになります。 |
非金銭債権等(破産法103条2項1号債権) | 評価額により相殺が可能です(破産法67条2項、破産法68条1項、破産法103条2項)。 |
停止条件付債権 | ・停止条件成就後は相殺が可能です。 ・停止条件成就前は、相殺できませんが、破産管財人に対して寄託請求が可能です(破産法70条)。 最後配当の除斥期間内に条件成就した場合は,寄託金は相殺が認められ債権者に戻されます(参考裁判例:東京高判H13.1.30)。一方で、最後配当の除斥期間内まで条件成就しなかった場合は、相殺は認められず、財団に組み入れられます(破産法201条2項)。 東京高判H13.1.30(破産):請負契約注文者の違約金請求権を自働債権とする相殺が許されるとした裁判例裁判例の詳細を見る 破産者甲社(請負工事業者)の破産管財人Xが、注文者Yに対し未払請負代金の支払を求めて提訴したところ、Yは、契約解除時に請負代金の10分の1の違約金を甲社がYに支払う旨の約定が請負契約にあったことから、当該解約金違約金条項に基づく相殺を主張しました。Xは、Yは当該違約金債権を破産申立後の解除により取得したのであり、Yの相殺は、破産法104条4号本文(現72条1項3号、4号)により相殺できないと主張しました。第1審はXの請求を棄却したためXが控訴したところ、 本判決は「本件解除違約金条項は、本件各請負契約が締結された時に成立ないし存在し、甲社の債務不履行及びこれに基づくXらの契約の解除という事実にその効力の発生をかからせたもの(民法127条1項)であると認められる。そして、本件各請負契約は、甲社の破産宣告前に締結されたことはさきに認定したとおりである。そうすると、本件違約金債権は、本件各請負契約締結時に成立した停止条件(甲社の債務不履行・Yらの契約解除)付債権であり、甲社の破産手続において破産債権となる。」として違約金条項が停止条件付債権であるとしたうえで、甲社が全従業員を解雇している事実などから停止条件成就(Yの解除)も認められるとして、Yの相殺の主張を認め控訴を棄却しました。 |
⑶ 受働債権(=破産者の債権)の補足/修正
受働債権(=破産債権者の債務)の債権の種類によっては、相殺可能な範囲が制限されます。
債権の種類 | 相殺可能な範囲 |
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期限付債権等 | 破産債権者は期限の利益を放棄して相殺が可能です(破産法67条2項)。 |
停止条件付債権 | 原則として破産手続開始後に条件が成就すれば破産債権者は相殺が可能です(最判H17.1.17)。 なお投資信託に関する判例として最判H26.6.5があります。 最判H17.1.17(破産):破産債権者は、受働債権が期限付及び停止条件付債権であっても、特段の事情がない限り相殺することが許されるとした判例裁判例の詳細を見る 甲の破産管財人Xが保険会社Yに対して開始決定後に満期が到来した満期返戻金返及び、開始決定後の解約により停止条件が成就した保険解約返戻金を請求したのに対し、Yが、甲に対する不法行為(甲の放火による保険金の詐取)に基づく損害賠償請求権による相殺を主張して、支払を拒みました。 第1審はXの請求を認容し、控訴審はYの相殺を認めたため、Xが上告したが、本判決は、「破産債権者は、その債務が破産宣告の時において期限付である場合には、特段の事情のない限り、期限の利益を放棄したときだけでなく、破産宣告後にその期限が到来したときにも、法99条後段の規定により、その債務に対応する債権を受働債権とし、破産債権を自働債権として相殺をすることができる。また、その債務が破産宣告の時において停止条件付である場合には、停止条件不成就の利益を放棄したときだけでなく、破産宣告後に停止条件が成就したときにも、同様に相殺をすることができる。」として、上告を棄却しました。
最判H26.6.5(民事再生):投資信託の販売会社による相殺が民事再生法93条2項2号(破産法72条2項2号に相当)の「前に生じた原因」に基づいて発生した債務による相殺とは認められず、相殺は禁止されるとした裁判例裁判例の詳細を見る X(再生債務者)は甲社の代表取締役であり、甲社のYに対する債務につき連帯保証をしていました。また、XはYを販売会社としてMMFを購入していました。甲社につき民事再生手続開始決定がなされ、Xが支払不能になった後、YはXに対する連帯保証債務履行請求権を被保全権利としてMMFの解約実行請求権を代位行使し、MMFの解約金がYにあるX名義の口座に入金されたところで、預金債務とXに対する連帯保証履行請求権とを対等額で相殺しましたた。その後、Xは民事再生手続の申立をして、開始決定に至った。 そこで、XはYに対し、当該相殺が民事再生法93条1項2号ないし3号に該当して無効であるとして、MMF解約金の支払いを求めて提訴したところ、第1審はXの請求を認め、控訴審はXの請求を棄却したため、Xが上告したところ、本判決は以下のように判示して、Xの請求を認める破棄自判をしました。 「民事再生法は,再生債権についての債権者間の公平・平等な扱いを基本原則とする再生手続の趣旨が没却されることのないよう,93条1項3号本文において再生債権者において支払の停止があったことを知って再生債務者に対して債務を負担した場合にこれを受働債権とする相殺を禁止する一方,同条2項2号において上記債務の負担が『支払の停止があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因』に基づく場合には,相殺の担保的機能に対する再生債権者の期待は合理的なものであって,これを保護することとしても,上記再生手続の趣旨に反するものではないことから,相殺を禁止しないこととしているものと解される。・・・本件債務は,Xの支払の停止の前に,XがYから本件受益権を購入し,本件管理委託契約に基づきその管理をYに委託したことにより,Yが解約金の交付を受けることを条件としてXに対して負担した債務であると解されるが(最高裁平成17年(受)第1461号同18年12月14日第一小法廷判決・民集60巻10号3914頁参照),少なくとも解約実行請求がされるまでは,Xが有していたのは投資信託委託会社に対する本件受益権であって,これに対しては全ての再生債権者が等しくXの責任財産としての期待を有しているといえる。Xは,本件受益権につき解約実行請求がされたことにより,Yに対する本件解約金の支払請求権を取得したものではあるが,同請求権は本件受益権と実質的には同等の価値を有するものとみることができる。その上,上記解約実行請求はYがXの支払の停止を知った後にされたものであるから,Yにおいて同請求権を受働債権とする相殺に対する期待があったとしても,それが合理的なものであるとはいい難い。また,Xは,本件管理委託契約に基づきYが本件受益権を管理している間も,本件受益権につき,原則として自由に他の振替先口座への振替をすることができたのである。このような振替がされた場合には,YがXに対して解約金の支払債務を負担することは生じ得ないのであるから,YがXに対して本件債務を負担することが確実であったということもできない。さらに,・・・本件においては,YがXに対して負担することとなる本件受益権に係る解約金の支払債務を受働債権とする相殺をするためには,他の債権者と同様に,債権者代位権に基づき,Xに代位して本件受益権につき解約実行請求を行うほかなかったことがうかがわれる。そうすると,Yが本件債務をもってする相殺の担保的機能に対して合理的な期待を有していたとはいえず,この相殺を許すことは再生債権についての債権者間の公平・平等な扱いを基本原則とする再生手続の趣旨に反するものというべきである。したがって,本件債務の負担は,民事再生法93条2項2号にいう『支払の停止があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因』に基づく場合に当たるとはいえず,本件相殺は許されないと解するのが相当である。」 |