このページは破産債権届出書の記載事項や添付書類について説明しています

届出書については、知れたる債権者であれば、裁判所から債権届出書のフォームが送られてきますので、フォームに沿って記入すれば、問題ないことが多いです。

1 債権届出書に記載すべき事項

破産債権届出書には、以下の事項を記載しなければなりません(破産法111条、破産規則32条)。

破産債権の額及び原因
優先的破産債権、(約定)劣後的破産債権であるときは、その旨
自己に対する配当額の合計額が1000円に満たない場合においても配当金を受領する意思があるときは、その旨
破産債権者及び代理人の氏名又は名称及び住所
執行力ある債務名義又は終局判決のある破産債権であるときは、その旨
破産債権に関し訴訟が係属する裁判所、当事者の氏名又は名称及び事件の表示
連絡先・書面送付先(参考裁判例:東京地判H23.9.29
別除権者は、別除権の目的である財産及び別除権予定不足額

東京地判H23.9.29 債権者に代理人が就任し、受任通知がされたとしても、債権届出書の通知を受ける場所に代理人が記載されていなければ、債権者本人に通知すべきであるとした裁判例

裁判例を確認する
(Xは破産債権者、Yは破産管財人)「異議通知書や簡易配当の通知先は破産債権者であり(破産規則43条4項、破産法204条2項)、破産債権者は債権届出書に通知等を受けるのに必要な事項を記載しなければならず、それを変更する場合はその旨の届出をする必要がある(破産規則32条、33条)ところ、本件では、債権届出書にはXの住所地が記載されており、X訴訟代理人の受任通知兼連絡書には通知先を代理人の事務所にする旨の記載はない・・から、異議通知書や簡易配当の通知先はX住所地となる。したがって、破産管財人Yとしては、破産法上、X本人の住所地に通知する義務があったといえ、本件簡易配当通知をX本人に通知しX訴訟代理人にしなかったことを問題とする余地はない。

東京地判H29.11.17 破産債権届出書においては、破産債権者の表示として、Xの住所、法人名及び代表者名が記載されており、「通知場所」について「住所と同じ」又は「異なる場合」のいずれかにチェックをする形式となっていたが、いずれにもチェックはされておらず、一方で不動文字による「代理人名義で届け出る場合は、下欄も記入してください。(委任状添付必要)」という記載があり、それに続く、代理人の住所、氏名、電話番号及びファックス番号の記載欄には弁護士の氏名等が記載されていて訴訟委任状も添付されていた事案で、配当通知を代理人宛にしたことに、瑕疵があったということはできないとした裁判例

2 債権届出書に添付すべき資料

破産債権届出書に添付すべき資料は以下のとおりです(破産規則32条4項、12条、民事訴訟規則15条、18条)。

破産債権に関する証拠書類の写し
破産債権が終局判決等のあるものであるときは、判決書の写し等
代理人をもって破産債権の届出をするときは、代理権を証する書面
資格証明書(法人の場合)

3 債権届出後の名義変更

破産債権の債権譲渡がされたり、保証人等により代位弁済された場合には、破産債権者の名義変更手続(届出)を行う必要があります。