このページは、破産手続における配当について説明しています。
具体的には、配当が行われる場合や、配当手続について説明しています。
配当は、破産財団が一定程度形成され、租税公課などの財団債権が全額支払われた後に行われます。破産財団が形成できず、財団債権全額が払えない場合には、異時廃止として、手続は終了し、配当は行われません。
なお、条文は、別途明示してない限り破産法です。
1 破産財団と配当の関係
破産財団に一定の余裕が無ければ、配当には至りません。破産財団の状況と配当の関係は以下のように分類されます。
⑴ 財団債権全額を支払えない場合
まず、他に優先する財団債権(破産法147条1項1号、2号)がすべて支払われます。
次に、破産財団の残額で、他の財団債権の按分弁済となり(破産法152条1項)、破産債権に対する弁済はありません。手続は異時廃止(破産法217条1項)となります。
管財人による債権認否は、留保のまま終了することが一般です(事案によっては、破産債権届出が留保のまま終わる場合もあります)。
⑵ 財団債権全額と 優先的破産債権の一部しか支払えない場合
優先的破産債権間の優先順位の高いものから(破産法98条2項、公租、公課、私債権の順番になります)、配当が行われます。
同順位の優先的破産債権全額に配当できない場合は、按分弁済となります(破産法194条2項)。
一般の破産債権に対する配当はありません。
優先的破産債権のうち公租公課のみの配当の場合は、債権認否は留保して終了します。優先的破産債権のうち、私債権(主に労働債権)にも配当する場合は、債権認否が行われます。
⑶ 一般破産債権にも配当できる場合
優先的破産債権全額の配当を行ったうえで、一般破産債権に配当が行われます。当然債権認否等の手続も行われます。
2 配当手続
一般破産債権の配当手続の概要は以下のとおりです。
なお、優先的破産債権の配当のみにとどまる場合、公租、公課、私債権の順序で配当が行われます(破産法98条2項)。同順位の優先的破産債権全額に配当できない場合は、按分弁済となります(破産法194条2項)。
時系列 | 内 容(管財人が行うこと) |
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前提 | 換価業務が終了していること。 財団債権の支払がすべて終了していること。 管財人の債権調査が全て終了していること。 |
配当表の作成 | 管財人は、配当表を作成します(破産法196条)。 |
集会での報告、債権調査 | 管財人は債権者集会で、配当を行う旨を報告し、配当表を提出します。 管財人は認否書を提出し、債権調査期日が開かれます(既に前の集会で債権調査期日が終了している場合は、不要)。 |
債権者への配当通知等 | 管財人は、届出債権者への通知を行います(一定の場合は官報公告をします)(破産法197条1項)。 |
配当の実施 | 除斥期間・配当表に対する異議期間の経過後に、管財人は配当を実施します(破産法198条1項、200条1項)。 |
3 破産債権の配当における取扱い
管財人は、配当原資を、一般破産債権の債権額で案分弁済を行います。債権の種類ごとの取扱いは、以下のとおりです。
債権の種類 | 取扱い |
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確定した債権(破産法124条) | 配当されます。 |
管財人が認めなかった債権(他の債権者から異議が述べられた債権も) | 除斥期間満了時に債権確定手続が継続している場合は、認められることを前提として供託されます(破産法202条)。 その後、債権確定手続で、債権が認められれば、債権者は供託金を受け取ることができ、債権が認められなければ、配当から除外され、供託金は追加配当(破産法215条1項)等に充当されます。 なお、除斥期間満了時に債権確定手続が継続していない場合は、配当から除外されます。 |
別除権付債権 | 除斥期間満了までに不足額が証明されない限り配当から除外されます(破産法198条3項、205条)。 ただし、根抵当権について例外あります(破産法198条4項)。 |
停止条件付債権 | 除斥期間満了時に停止条件成就がなければ配当から除外されます(破産法198条2項)。 |
将来の請求権 | 除斥期間満了時に期限未到来であれば配当から除外されます(破産法198条2項)。 |
解除条件付債権 | 除斥期間内に条件成就しない時は配当対象となります(破産法201条3項) |