このページは破産債権の債権査定手続について説明しています

なお、特に断りのない限り、条文は破産法です。

1 債権査定手続の実務

債権査定申立とは、管財人(等)の異議に対する債権者からの不服申立手段です。

通常、審尋期日は設定されず、書面による審理のみで決定がなされます。

査定申立があったとしても、査定決定に至らず、管財人と債権者が裁判外で和解をして、査定を取り下げることで終結させる場合も多いです。

2 査定手続に主張できることは限られています。

査定手続等において、債権者は破産債権者表に記載されている事項のみを主張できるとされています(破産法128条

そこで、査定において、どの範囲で債権者は主張の変更が許されるか(=債権の実質的同一性が認められるか)が問題となることがあります。この点について、以下のような裁判例があります

主張の変更に当たらないとした裁判例

裁判例債権届け出書に記載した債権査定における請求債権
大阪高判S56.6.25(更生)ゴルフ会員権債権預託金返還請求権
大阪高判S56.12.25(更生)貸金債権不当利得に基づく債権

主張の変更に当たるとした裁判例

裁判例債権届け出書に記載した債権査定における請求債権
大阪高判S55.2.21(更生) ゴルフ会員権に基づく債権不当利得に基づく債権
仙台高判H16.12.28(再生)不法行為による損害賠償金あるいは不当利得返還金請負代金債権